「異邦人」 (新潮文庫) カミュ (著), 窪田 啓作 (翻訳)


~紹介した「みずしま」(男性)の記録~
(2015年11月1日読書会にて)

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主催者の感想というか勝手な妄想というか戯言


この本は、僕が今回の読書会で紹介したもの。

もし、母親のことを”ママン”なんて呼ぶやつがいたら絶対に友達にはならないのだが、それはとりあえず置いといて、読み終えたときの印象は確かに不条理だということ。

有名な作品なので、凡庸な僕の感想より、ネット上に流布している膨大な感想を検索し読んだほうがしっくりくるかと思うので、ここではこの本から連想した映画について書きたい。

これは、2003年に公開された、黒沢清監督の「アカルイミライ」という作品。

仁村雄二は、同じおしぼり工場で働く同僚・有田守と公私ともに淡々とした日常を過ごしている。雄二は他人と上手く渡り合えず無鉄砲な性格。そんな彼を見兼ねた守はある日、彼ら2人だけしか分からない2つのサインを提案し、それを徹底させようとする。その頃から雄二は守が飼っている猛毒の“アカクラゲ”に興味を示すようになった。ある時、守はそのクラゲを雄二に託して突然姿を消す。守は工場の社長夫妻殺害の容疑者として収監されていた。以来、雄二は戸惑いながらも、何かに取り憑かれたようにクラゲの世話を始めるのだが…。(allcinemaより)

主演はオダギリジョー(役:仁村雄二)で、助演は、浅野忠信(役:有田守)、藤竜也(役:守るの父)。そして、まだ無名だった頃の、加瀬亮、松山ケンイチが脇役として登場する。

「異邦人」では、主人公ムルソーの虚無的な振る舞いが、分かり合えるであろう関係を崩壊させ、誰とも分かり合えない関係を強固なものとしてしまうが、「アカルイミライ」では、まさに雄二が似たような人物なのだが、ムルソーと違い唯一分かり合える存在、守がいる。

あるとき、雄二は突発的に、働いている工場の社長夫婦に殺意を抱く。金属パイプ片手に、社長宅に向かってみると社長夫婦は既に殺されていた。

そして、ニュースで、守がその殺人容疑で捕まったという事実を知る。

この現実をうまく呑み込めずに、孤立してしまった雄二の前に、守の父が現れる。

守の父は、なぜ守があのようなことをしたのか理解できない。守と面会しても何も返答をしないし、最後は獄中で自殺をしてしまう。守のことを理解できていなかった自分を責め悔やむ父。そんな中で、守と親しかった雄二と出会い、どことなく守と似たような雰囲気を感じ、まずは彼を理解しようということから始める。

二人には共通点がある。それは、この社会をうまく生きられないということ。

そこで、ポイントになるのが猛毒を持つアカクラゲだ。これは、守が殺人を犯す前に雄二に飼うように託したもので、大切に育てていたのだがある日、逃げ出してしまう。

そのクラゲが、物語後半で、東京中に大量に出没し、テレビのニュースで猛毒をもった危険なクラゲとして流れるが、雄二と守の父はその光景に感動する。

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赤く光るクラゲに感動する二人

ここまでのことを自分なりにまとめると、

猛毒をもつ赤クラゲは、危険だから駆除しなければならないという普通の社会で考えたら当然だが、そこでは生きられない、生きづらい人(雄二や守の父)によったら全く違ったものに見えるかもしれない。

これは、太陽が眩しいという理由で人を殺したムルソーとどこか一致する。

だが、「アカルイミライ」では、守の父が最後のシーンで、雄二を抱きしめて「お前たちを許す」と言ったように、普通に生きられないようなヤツに救いを与えてくれることが、異邦人との違いだ。

おわり

本の行方


みずしま→→→→→まっちゃん

 

異邦人 (新潮文庫)

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