「夢を与える」(河出文庫) 綿矢 りさ(著)


~紹介した「あすみん」(女性)さんの記録~
(2015年11月28日読書会にて)

413-PfNkWIL あすみん

主催者の感想というか勝手な妄想というか戯言


2003年「蹴りたい背中」という作品で19歳という異例の若さで芥川賞を受賞した”綿矢りさ”さん。当時、そんな若造の各作品なんて(とはいっても、僕より3つ上)といった偏見から綿矢さんの作品を読もうとはしなかった。

この交換読書会はいままでに100名以上の参加者がいるにも関わらず、綿矢さんの作品はいままで登場することがなかった。だが、今回の読書会でとうとう出会ってしまった。

紹介されたのは、「蹴りたい背中」ではなかったが、その5年後に出版された「夢を与える」という作品。紹介者曰く、この作品で本の面白さに目覚め、生涯ベストワンといっても過言ではないらしい。そういわれたら、無性に読みたくなってきた。交換され自分のもとにやってくるのを期待しつつ、そうならなかったので家に帰ってAMAZONにて購入した。

(内容紹介)

幼い頃からチャイルドモデルをしていた美しく健やかな少女・夕子。中学入学と同時に大手芸能事務所に入った夕子は、母親の念願どおり、ついにブレイクする。連ドラ、CM、CDデビュー…急速に人気が高まるなか、夕子は深夜番組で観た無名のダンサーに恋をする。だがそれは、悲劇の始まりだった。夕子の栄光と失墜の果てを描く。

あらすじをよんだとき、岡崎京子の漫画「ヘルタースケルター」を思い浮かべた。
ヘルタースケルター (Feelコミックス)

2012年、映画化もされている。

(内容紹介)
「もとのままのもんは骨と目ん玉と髪と耳とアソコぐらいなもんでねあとは全部つくりもんなのさ」。大掛かりな全身の整形手術とメンテナンスにより、完璧な美しさを持つモデルの「りりこ」。女優や歌手としても活躍し人気の絶頂を迎えるが、体は次々に異常を訴え始める。それにつれてりりこの心の闇も濃く、深くなり、彼女の人生はやがて手もつけられなくなるほどに壊れてゆく。

「夢を与える」読み終えたときは「ヘルタースケルター」と全く違い、対極的なストーリだと思ったのだがしばらく考えると似ている気がしてきた。

「ヘルタースケルター」の主人公りりこは、”もとのままのもんは骨と目ん玉と髪と耳とアソコぐらいなもんでね あとは全部つくりもんなのさ”というセリフがあるように体の殆を整形し、美貌を手に入れた。そして、その美貌を武器に芸能界を一気に席巻した。

一方、「夢を与える」の主人公”夕子”は生まれながらにして美貌を兼ね備えている。だからこそ、チャイルドモデルとして芸能界デビューし、成長するとともにスターへの一歩を踏み出し始めた。

このように対極的だが、二人には共通する部分がある。それは、”誰かのレールに乗かっているにすぎない”のでは、ということだ。どちらも、黒幕が存在する。りりこの場合だと事務所の社長多田、夕子の場合だと母親(マネージャ)の幹子。

夕子は、マネージャーが母親だけあって、りりこと血のつながりのない多田との関係性とは大きく違うが、”芸能界で生き残るためには”ということでは共通する。

ここで、介在してくるのがスポンサーと、曖昧で抽象的な世間からのイメージ(見え方)だろう。

夕子の場合は、幼いころからの成長過程を追ったという内容のCMと半永久的な契約をしており、世間からのイメージとしては、幼いころからCMに出ている子が成長するにつれてという純粋な物語が付随する。この純粋というのが厄介で、これは曖昧で抽象的な世間からの目だからこそそうさせてしまい、それが夕子にとってのプレッシャーとなってしまう。つまり、映像の中で演じる自分は嘘で本当の自分はそうでないが、世間からの目がそうさせてくれないということだ。

りりこの場合だと整形で手に入れたありえない美貌と置き換えていいのかもしれない。世間からの目としては、「私もああなりたい」という憧れの眼差しだ。だから、その美貌を常に保たなくてはならない。

夕子の場合は”清純さ”、りりこの場合は、”美貌”。

夕子は”SEXビデオ流出”、りりこは”整形の副作用”でそれが崩れる。

抗えない世間からのイメージ、そしてそうなることで潤うスポンサーという構図の中での所詮商品でしかないタレントは簡単に捨てられる。

ここまでのことをまとめると、ベッキーはこれから大変だなあということである。

おわり

本の行方


あすみん→→→→→ツダ
夢を与える (河出文庫)

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