「パリでメシを食う。」(幻冬舎文庫) 川内 有緒 (著)


~紹介した「ハマダ」(男性)さんの記録~
(2015年12月26日読書会にて)
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ハマダ

主催者の感想というか勝手な妄想というか戯言


この本は、交換して僕のもとにやってきた。「パリで飯を食う。」というタイトルから、”孤独のグルメ”のような話かと思いきやそうではない。

内容(「BOOK」データベースより)
三つ星レストランの厨房で働く料理人、オペラ座に漫画喫茶を開いた若夫婦、パリコレで活躍するスタイリスト。その他アーティスト、カメラマン、花屋、国連職員…パリにいつのまにか住み着いた日本人10人の軌跡。時にセーヌ川のほとりで、時にワインを片手に、彼らが語る軽やかでマイペースなパリでの暮らしぶりに、思わず肩の力がふっと抜ける好著。

”パリで飯を食っている”という人たち、それも日本人のお話だ。

実際に住んでいる人たちなので、パリでの辛かった経験なんかも出てくる。例えば、

ある日、靴を買い家で開けてみたら、左右の色が違っている。交換を頼みにいくおt、店員は「交換はむり。だいたいよく見ないで買ったあなたが悪いんでしょ」と早口でまくしたてる。フランスでは横柄な店員が多いのだが、日本のサービスになれたものにはショックだ。(「パリで飯を食う。~三つ星レストランを目指した料理人~p21より引用」)

日本を離れパリで暮らしているからには、それ相当の覚悟を持っているのかと思いきや、ふとしたきっかけから空きビルを乗っ取り活動していた現代アート集団スワットのグループに仲間入りしパリに住むようになったなんて人も登場する。

全部で10人つまり10のエピソードが掲載されているわけだが、全てに共通することは”とりあえずパリに行ってみた”ということだろう。

「僕がいろんな人と話していて聞きたいのは、何をしたいかじゃない。何を成したか。(中略)でも、この世の中には、『何をしたいか』を語るヤツガ多すぎる。(中略)とにかく一歩を踏み出せば案外うまくいく。だから、みんな一歩を踏み出せばいいのにって思ってるんだ」(「パリで飯を食う。~先手必勝、オペラ座に漫画喫茶を開いた起業家~p109より引用」)

ここだけを読むと”結局は、パリに行って成功した人たちの話ね”と巷に溢れるような”夢を成し遂げ成功しました!!”というくだらない本と大差はないのだが、この後に書かれている文章を読めばこの本がそれとは違うことがお分かりいただけるだろう。

彼の言うことは、もっともだ。しかし、その溢れ出す自身が、ちょっとだけ高慢にも聞こえ、ときに圧倒されてしまう。誰もが彼みたいに簡単に一歩が踏み出せるわけじゃない。(「パリで飯を食う。~先手必勝、オペラ座に漫画喫茶を開いた起業家~p109より引用」)

こんな著者のアイロニカルな視点が僕は好きだ。

さらに、あとがきの文章を引用したい。

「僕の生き方なんか誰の参考にもならないですよ。しょうもない人生ですから」

そう言ったのはパリコレで活躍するスタイリストの人だ。もっと成功している人がいるから紹介しましょうか、とも言ってくれた。

「いえ、いいんです、私は誰かの参考になるような話やサクセスストーリーを聞きたいわけではないんです」

そう答えると、彼は戸惑っていたが、私は内心嬉しかった。「しょうもない」話は一見すると「普通の人生」と呼ばれるような内容かもしれないが、その蓋を開ければ、二つとない話だということはわかっていた。(「パリで飯を食う。~あとがき~p322より引用」)

文章を書くにあたってせっかくWeb上なのだからと、いつも何かしらの動画を張り付けるように心がけている。今回は、この本の中に登場した人物で唯一、Youtubeに動画がありそうな人がいた。それは、ヨーヨーを武器にフランスのサーカス団に入ったyukkiという人だ。とりあえず、Googleで名前を入力し検索をかけてみると悲しい事実を知ってしまった。それは、2012年に亡くなられたということ。

この本を読まなければ恐らく存在すら知らなかっただろう。ただ、読んだことで知ることが出来た。「知ったから何なんだ」と問われれば「知れたから良かった」としか答えられないが、とにかくyukkiさんのパリで送った生活を知れて良かった。

おわり

本の行方


ハマダ→→→→→みずしま
パリでメシを食う。 (幻冬舎文庫)
川内 有緒
幻冬舎
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