「あん」 (ポプラ文庫) ドリアン助川 (著)


~紹介した「トモ」さん(男性)の記録~
(2015年6月27日読書会にて)

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トモ

主催者の感想というか勝手な妄想


著者は、ドリアン助川。読書会、開催前の6月25日に届いた、「水道橋博士のメルマ旬報、川野将一『ラジオブロス』」にて、唐突に彼の存在を知った。

かつて、ニッポン放送にて、「ドリアン助川の正義のラジオ!ジャンベルジャン!」(1995年~2000年)という番組が放送されていた。主な内容は、リスナーからの電話相談を受けるというもの。

番組の第1回目、1995年10月14日に”かよちゃん”という18歳の女子高生から電話が届く。

ドリアン:「なんか、悩みかな?」

かよ:「うーんとね、病気なんですけど」

ドリアン:「病気?」

かよ:「風邪ひいたと思って、病院に行ったら、貧血みたいに言われて・・・・そのあとはよくなったから元気なつもりだったんだけど、一度しっかり検査したほうがいいとかいわれて入院も進められたんです」

ドリアン:「はい」

かよ:「日記をたまたま見ちゃいまして、で、うちのお姉ちゃんは看護婦をやっているんですよ。で、日記見ちゃったときにわたしのことがたまたま書いてあってそれが、あの、白血病って書いてあったんですよ・・・・・」

まだ、未確定な情報らしく、ドリアン助川はとりあえずもう一度検査してしっかり調べるようにと勧めてこの日は相談が終わった。

白血病と戦ったかよちゃんの日記 1回目の出演より要約・引用)

その翌月、1995年11月25日に再び”かよちゃん”から番組に連絡が来る。

かよ:「その後、体調が悪くなって、貧血で倒れることが多くなって、もうしょうがないので、病院に行って・・・・・、再生不良性貧血という病名がついたんですよ」

ドリアン:「再生不良性貧血?」

かよ:「はい、進行していくと白血病になっていくという・・・・、先週の土曜日にもまた調子が悪くなってちょっと入院したんですよ・・・・」

白血病と闘ったかよちゃんの日記 2回目の出演より要約・引用)

再びかよちゃんから電話があったのが1995年12月30日。白血病になってしまい、無菌室で入院生活を送っていることを告げる。

ドリアン:「かよちゃんのところにたくさん手紙いったでしょう?」

かよ:「ありがとうございます」

ドリアン:「どんな手紙がありました?」

かよ:「そうですね、開ける手紙、開ける手紙、がんばってっていう想いがすごく、あとは変な話ラジオじゃないですか」

ドリアン:「まあね」

かよ:「で、まあ、一つの電波を通じてただひとりの若いお姉ちゃんがいってることなのにすーごく真剣に一人ひとり考えてくださって、でー、ご自分のこともいろいろかいてくださって、それでも応援してくれるっていう、おはがきがすごく多かったので、すごく励みになります」

ドリアン:「でも、かよちゃんがね、病気と闘いながら、そうやって、いつも明るい声で話してくれるじゃない」

かよ:「えへへへへ」

ドリアン:「どれだけね、かよちゃん、どれだけ君が、みんなに勇気を与えているか。かよちゃんは、かよちゃんの闘いをやりながら、みんなにね、ものすごいね、勇気を与えているんだよ」

白血病とったかよちゃんの日記 3回目の出演より一部要約・引用)

1996年2月24日、再び”かよちゃん”から番組に電話がくる。そこで、無菌室から出れたこと、そして大学に合格したとの報告を聞く。さらに、

かよ:「骨髄移植が受けれるようになったんですね。」

ドリアン:「本当?」

かよ:「はい」

ドリアン:「うわあ、よかったね」

かよ:「はい、どうにかこうにか、運がいいの。」

ドリアン:「君に手紙書いてくれた人とか、それから、ま、手紙に書かなくても君のこと思ってた人とか、今みんな本当によかったと思っていると思うよ。」

かよ:「はい、自分が一番うれしいです。自己満足ですけど。だから病気になって、で、1人で考えていた時期もあったんですけど、ほとんど、周りの人やラジオを通じてでしか、知り合ったことのない人とかに、すごく、支えられてたので、がんばってこれたのかなあとも思うし、これからもがんばっていかなきゃいけないんですけど、すごくチャンスかなと」

後日の放送で、ドリアン助川が、大学に受かった当時のかよちゃんの喜びをこう話している。

ドリアン:「こんなに喜んでいるんだから、その時の彼女の気持ちをわかってほしいなあと思って、大学の名前をあえて言います。まず合格したとこです。入院1週間。ドリアンさん、受かってたよ。早稲田大学の理工学部。たった今、お母さんが合格通知持ってきてくれた。お母さんも泣いてる。・・・ふっとんだよ。努力すれば実るもんだね。やればできるってことか」

白血病とったかよちゃんの日記 4回目の出演より一部要約・引用)

1996年6月1日、”かよちゃん”からの電話が久しぶりに入る。骨髄移植を受けて元気になっていたかと思われたがそうではなかった。ドナーの都合でそれが叶わなかったのである。ショックを受けた、”かよちゃん”は10日間誰とも話が出来なかったそうだが、それを乗り越え番組に電話した。

ドリアン:「声が元気そうです」

かよ:「はい、体も元気です」

ドリアン:「また、いや、回復してるんじゃないかっていうことは言ってたんですけども」

かよ:「はい、来週退院します」

ドリアン:「退院!」

かよ:「表に出れるので、最近写真とか好きになって、外に出ると写真を撮って遊んでたりします。」

ドリアン:「いやほんとに良かった。「うん、このまま行くといいですね。みんなも喜んでいると思います!!」

かよ:「ありがとうございます」

白血病とったかよちゃんの日記 5回目の出演より一部要約・引用)

しかし、放送から1か月後の1996年6月30日”かよちゃん”の訃報が番組放送中に告げられる。

 

そして、その後放送された、「白血病と闘ったかよちゃんの日記」という特集の放送で、1996年6月22日の誕生日時に肉声でラジカセに録音されたかよちゃんの日記が流れる。

こんにちは、かよです。えーと、今日は平成8年の6月22日、私は19才の誕生日を迎えました。えーと、ラジオを聞いている皆さんにはたっくさんのお手紙をいただいて本当にありがとうございました。おかげさまで、今、元気に学校にも通っているような感じです。本当にありがとうございました。

(中略)

どうしても生きていたい。今死ぬわけにはいかないんです。自分のやりたいこともいっぱいあるし、今なんて死ねません。だけど、自分の中で、もう一人の自分がいて、元気にがんばれ、しっかりしろって、かよらしく元気でいなさいって、言い聞かせる自分がいるんです。だから今の私があるのかもしれません。でも、これから先、何日、そして何年、自分の命が続くかわかりません。その状況の中で、それでもなるべく元気に生きていたいと思います。

最近、同い年ぐらいの子たちがいろんな悩みを持って自ら命を絶つ人がいます。自分で命を絶つくらいなら私に命を分けてください。そうやって叫びたくなるくらいな気持ちです。

いつも強がって生きていくのはちょっとしんどいです。でも私にはリスナーのみなさんやドリアンさん、スタッフの皆さん・・・ついていてくれます。それが何よりの支えです。

このテープがみんなの耳に届く頃、私はこの世からいないと思います。最後に弱音を吐いてごめんなさい。本当にありがとうございました。

かよでした。

白血病とったかよちゃんの日記 その後のかよちゃんの日記より一部引用)

その1年後の1997年に”かよちゃん”の特集が組まれて放送される。

これがラジオで放送されたのが、いまから約20年前。「水道橋博士のメルマ旬報」というメルマガをとっていなかったら”かよちゃん”という存在を認識していなかっただろうし、読書会にて「あん」という小説を”トム”さんがもってきていなかったらこうやってサイトにて記録することもなかっただろう。

”かよちゃん”という人に会ったこともなければ、リアルタイムに”ドリアン助川”のラジオを聞いていなかった。しかし、その存在を知ったことで、僕の心の中では、”かよちゃん”という存在を忘れることが出来ないものとなった。

ここで、「鎮静剤」(マリー・ローランサン著)という詩を引用したい。

退屈な女より もっと哀れなのは 悲しい女です。

悲しい女より もっと哀れなのは 不幸な女です。

不幸な女より もっと哀れなのは 病気の女です。

病気の女より もっと哀れなのは 捨てられた女です。

捨てられた女より もっと哀れなのは よるべない女です。

よるべない女より もっと哀れなのは 追われた女です。

追われた女より もっと哀れなのは 死んだ女です。

死んだ女より もっと哀れなのは 忘れられた女です。

この文章を書くにあたって、「白血病と闘ったかよちゃんの日記」を参照し引用したが、この中にある掲示板(http://8004.teacup.com/ichiro_51/bbs)では、いまなお”かよちゃん”のことを忘れていない人たちによって更新が続いている。

 

おわり

 

参考

白血病と闘ったかよちゃんの日記」・・・・http://www2u.biglobe.ne.jp/~hiroki-y/

↑こちらのサイトにはその当時のやり取りがくわしく記録されています。また、かよちゃんの日記の肉声も保存されています。

水道橋博士のメルマ旬報」・・・・川野将一『ラジオブロス』(Listen.39 『ドリアン助川の正義のラジオ!ジャンベルジャン!』)

↑かよちゃんとのやり取り以外にも、ドリアン助川さんの人となりが分かる内容でした、興味深く拝見しました。

 

「あん」は映画化されていて現在、放映中なので興味のある方は是非!!

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