「あつあつを召し上がれ 」(新潮文庫) 小川 糸 (著)


~紹介した「M.I」さん(女性)の記録~
(2015年7月12日読書会にて)

あつあつを召し上がれ (新潮文庫)

M.I

主催者の感想というか勝手な妄想


「バーバのかき氷」「親父のぶたばら飯」「さよなら松茸」「こーちゃんのおみそ汁」「いとしのハートコロリット」「ポルクの晩餐」「季節はずれのきりたんぽ」

7つの共通点は何か?

全て、食べ物に関することが書かれているということ。内容を引用しよう。

この味を忘れることは、決してないだろう――。10年以上つきあった恋人との、能登へのお別れ旅行で味わった最高の朝食。幼い頃に、今は亡き母から伝授された、おいしいおみそ汁のつくり方。何年か前に家族みんなで並んでやっとありついた、天然氷でつくった富士山みたいなかき氷……。ときにはほろ苦く、ときには甘く優しく、身も心も温めてくれる、食卓をめぐる7つの感動の物語。(AMAZONより

ちなみに、紹介者のかたが印象に残ったお話としては、「親父のぶたばら飯」「さよなら松茸」だそうだ。

食にまつわるということだが、どんな物語でもかなりの高確率で食べ物がでてくるだろう。

人間の三大欲求の1つ。それは食欲。これを描くことで、登場人物の趣味嗜好が分かり、読み手が入り込みやすくなる。そんな風に感じる。

これを、理論立てて語っていたのが、福田里香氏である。

ゴロツキはいつも食卓を襲う フード理論とステレオタイプフード50

物語において、フードを上手に登場させると、登場人物の性格や感情、置かれた状況を、鑑賞者へ伝達するのにきわめて有効、スムーズに働きます、ということです。
そう、フードは人間の機微を伝えるための優秀な装置として機能を発揮し、また、物語において、キャラクターの特性を一目で表すためのアイコン的な役割をも果たしている、というある種の法則のようなものがおぼろげに浮かび上がってきました。それらを総称して「フード理論」と呼んでいます。さらに、わたしが勝手に「フード理論」と命名したそれは、どうやら、三つの原則にまとめられる、という結論に至った次第です。それが「フード三原則」です。
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フード三原則
1 善人は、フードをうまそうに食べる
2 正体不明者は、フードを食べない
3 悪人は、フードを祖末に扱う
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「福田里香のステレオタイプフード理論 ごろつきはいつも食卓を襲う」より引用

この話は、「TBSラジオ ライムスター宇多丸のウイークエンドシャッフル」をきっかけに知った。

これに影響を受けて書かれた、漫画がある。それは、「進撃の巨人」。作者である、諫山創氏が番組に出演して語っているものがあるので、興味のある人は是非ご視聴頂きたい。

この広がり方は、ビジネス書なんぞ読んでたら得られない、ラジオゆえのサブカルチックで妙なるところだろう。

フード三原則に書かれていることを踏まえて改めて考察してみると面白い。何か資料となりそうなものがないかyoutubeを検索していたら「ドラゴンボール 食事シーン」というのが引っかかった。

 

アニメばかりになってしまうが、ドラえもんも実に美味しそうにどら焼きを食べる。

 

doraemon

人間は、食べるという行為を巡り殺人までも侵す。かつての戦争の多くは、食糧確保のためだとも言われている。アダムとイブもリンゴを食べた。

食べることからはじまった。

みんな食べることは好きである。もちろん、何を食べるかにもよるが、概ねそうだ。さらに、誰と食べるか、誰が作ったものを食べるかによって楽しさ美味しさも変わってくる。

ドラえもんに親近感がわくのはロボットなのに、どら焼きを食べるという人間的行為をするからかもしれない。これが、お尻の穴に給油ノズルをぶっさし、ガソリンを注入してエネルギーを得るという使用だとしたらここまで人気にならなかったかもしれない。

最近、メディアで話題になっている「子ども食堂」というものがある。まぁ、ひょんなことから関わりを持つようになったから、話題になっているように感じるだけかもしれないが、子どもの時にどんな食事をしたかによって、その後の人間形成が多少なりとも変わる気がする。

やっぱり、笑顔で食べる食事はなんだか、嬉しくなる。フード三原則に当てはめると、”善人は、フードをうまそうに食べる”なのだから。

何を食べたかではなく、どう食べたか。それが、重要なのだろう。

なので、この「あつあつを召し上がれ」では、登場人物がどうやって食と関わっているかそれを踏まえて想像しながら読み進めると楽しいかもしれない。

おわり

本の行方


M.I→→→→→佐伯

 

あつあつを召し上がれ (新潮文庫)
小川 糸
新潮社 (2014-04-28)
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